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フコイダン

フコイダンを抗がん剤と併用することで期待できる効果とは?

細胞を使った試験で、がん治療に有効と考えられるフコイダンの作用が確認されています。抗がん剤はがん治療に有効ですが副作用が強く、治療を続けることが困難になる場合もあります。その点フコイダンは食品なので、抗がん剤のような強い副作用の心配はなく、抗がん剤との併用による効果が期待されています。今はまだ臨床試験の件数が少ないですが、今後は増えていくでしょう。今回はフコイダンの抗がん作用と抗がん剤との併用で期待できる効果を臨床試験の結果も交えて紹介します。

日置医院長

この記事の監修者
日置クリニック 院長
日置 正人 医学博士

【経歴】
昭和56年3月 
大阪市立大学医学部卒業
昭和63年3月 
大阪市立大学大学院医学研究科卒業
平成5年4月 
医療法人紘祥会 日置医院開設

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フコイダンとは

フコイダンとはワカメ・モズク・アカモクなどの表面にあるヌメリに含まれる成分です。化学的にはフコースという糖の一種を主成分とする高分子多糖類で、栄養学的には水溶性植物繊維になります。
フコイダンには様々な生理機能があり、抗がん作用・抗潰瘍作用・抗ウイルス作用・抗コレステロール低下作用・血圧低下作用などが報告されています。特にがん患者のQOL(生活の質)を向上させる可能性に期待が寄せられており、臨床試験も行われるようになりました。

フコイダンの3大作用

フコイダンがもつ次の3つの作用はがん治療に有効と考えられ、研究が進められています。
アポトーシス誘導作用
アポトーシスとは予定されている細胞死のことです。役目を終えた細胞や古くなった細胞は、新しい細胞と入れ替わり身体を良い状態に保ちますが、がん細胞はアポトーシスが作動せず増殖し続けます。フコイダンにはがん細胞に対してアポトーシスを誘導する作用があります。※1
血管新生抑制作用
がん細胞が増殖を続けるには栄養が必要です。そこで既存の血管から枝を伸ばして新しい血管を増してがん細胞に栄養を送ろうとします。フコイダンはこのような血管新生を抑制する作用があります。※2
免疫強化作用
フコイダンが体内に吸収されると、免疫細胞が活性化されて免疫力が上がることが報告されています。※3

※1:がんを自滅に導くアポトーシス誘導作用

※2:がんの栄養補給路を断つ血管新生抑制作用

※3:ガゴメ昆布由来フコイダンの健常成人の免疫機能への有効性ならびに安全性の評価(日本補完代替医療学会誌 第 12 巻, 第 2 号, p87-93)

がん細胞と抗がん剤

がん細胞と抗がん剤
がんは日本人の死因第1位であり※4、がん細胞が増えるメカニズムが解明され、がん治療薬の開発も進められています。抗がん剤は様々な種類がありますが、副作用を緩和することが大きな課題です。

※4:令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)

がん細胞が増えるメカニズム

正常な細胞の遺伝子には自滅スイッチが組み込まれており、細胞自身が自滅スイッチを作動させて細胞死に至ります。このため細胞の新旧入れ替わりが上手くいくのです。

細胞が分裂する際、何らかの原因で遺伝子コピーに失敗し、自滅スイッチが正常に働かず無限に増殖を繰り返すようになります。これががん細胞であり、健康体であっても1日5000個位のがん細胞が生まれます。

しかし体内の免疫システムの働きで、がん細胞を排除し発病を未然に防ぎます。生活習慣や加齢・ストレスなどで免疫力が下がると、がん細胞を排除しきれずがん細胞が増殖します。※5

※5:がん細胞出現のメカニズム(九州大学大学院細胞工学制御教室)

抗がん剤の作用

抗がん剤は血流に乗って身体のすみずみまで行き渡り、がん細胞を破壊または増殖を抑えます。しかしその作用はがん細胞にだけ及ぶのではなく、腸や皮膚、毛根、骨髄など活発に増殖をする正常な細胞にも及びます。

そのため抗がん剤を使用すると、辛い副作用が伴います。主な副作用は吐き気・嘔吐、脱毛、骨髄抑制などで、これらの症状をできる限り軽くするために投与量の調整を行い、日常生活の中での工夫も必要です。抗がん剤の効き方は個人差があるので、副作用との兼ね合いで抗がん剤の種類を変更することもあります。

抗がん剤とフコイダンの併用

抗がん剤治療を行うがん患者は、副作用が強いため厳しい生活を送らなければなりません。フコイダンにがん治療に有効な作用があることがわかり、抗がん剤との併用効果への期待にとどまらず、QOL向上の可能性も注目されています。

フコイダンの抗がん作用

フコイダンの3大作用である「アポトーシス誘導作用」「血管新生抑制作用」「免疫強化作用」は抗がん作用として注目されています。しかしこれらの作用はインビトロ(細胞培養による実験)で確認されたものであり、インビボ(生体内での試験)によるフコイダンのがんへの作用の報告例はまだ少ないのが現状です。

インビボでは、マウスを使った報告があります。フコイダンの経口摂取により、マウスの腫瘍成長率・重量増加が抑制され、免疫も活性化も見られました。さらにフコイダンの経口投与をしたがんのマウスは、フコイダンの経口投与をしないがんのマウスよりも、生存日数が約2倍にもなることが確認されました。※6
これらはフコイダンの抗がん作用が複合的に働いて得られたものと考えられています。

※6:抗がん効果・抗がん剤副作用軽減に関する研究成果(海産物のきむらや 開発研究室高分子もずくフコイダンエビデンス)

抗がん剤とフコイダンを併用するメリット

抗がん剤はがん細胞だけではなく正常な細胞も破壊するため、抗がん剤を1回投与した後は一定期間休んで正常細胞の回復を待ちます。その後また抗がん剤の投与・休薬のサイクルを繰り返します。

フコイダンには抗がん作用の他に、抗がん剤の副作用を抑制する作用もあるといわれています。臨床試験でがん患者に対し抗がん剤にフコイダンを併用したところ、抗がん剤のみを投与したグループよりも、フコイダンを併用したグループのほうが副作用が抑制されました。

副作用が軽減されることで、身体を良い状態に保ちつつ抗がん剤治療を続けることができるため、生存期間も長くなる結果も得られました。※7

※7:フコイダンの産学連携における研究(J-SIP Branch 150, M8-4)

フコイダンの併用で前向きな抗がん剤治療が可能に

フコイダンの併用で前向きな抗がん剤治療が可能に
フコイダンは食品であり医薬品ではないため、フコイダン単独での治療はできませんが、抗がん剤と併用することにより深刻な副作用を緩和できる結果が臨床試験で得られました。副作用が緩和されることで、抗がん剤の投与・がん治療に前向きになれることは、大きなメリットといえるでしょう。また抗がん剤の効果を高める可能性も示唆する報告もあり、そのメカニズムの解明が待たれています。

フコイダンには試験管レベルの研究結果も多いですが、既に次のような作用が実証されております。

抗腫瘍・抗がん作用/抗アレルギー作用/肝機能向上作用/抗生活習慣病/抗ウイルス作用/抗ピロリ菌作用/血液凝固阻止作用/美肌作用/育毛作用

>>フコイダンについてもっと詳しく知りたい方はこちらへ。

さらに、そんな美容と健康に対してさまざまな作用をもたらすフコイダンを効率的に摂取できる方法として、最近では「中分子フコイダンドリンク」にも注目が集まっています。

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近年ではがん治療の統合医療にも、フコイダンが用いられるようになっています。
中分子フコイダンが持つ作用が、がん治療に良い効果をもたらすと期待されているためです。

具体的には、フコイダンは抗がん剤との併用が可能であり、かつその効果を高めたり、副作用を軽減したりする可能性が示唆されています。

>>フコイダンとがん治療についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ

フコイダンには、まだまだ秘められたパワーがあると考えられます。

今後研究が進むことで、私たちの健康に対しても医療分野に対しても、さらなる恩恵をもたらしてくれることでしょう。

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この記事の執筆者
日置クリニック コラム編集部

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